科目の概要 |
本授業では、仏教の原点であるインド仏教の歴史と思想を学ぶ。はじめに仏教誕生以前のインドにおける文化的・思想的な状況を確認した上で、ゴータマ・ブッダとその後の初期仏教の思想を通じて、四諦や縁起などの仏教の基本的な教理について学ぶ。続いて、部派分裂と「アビダルマ」と呼ばれる教理解釈学について学ぶ。数ある部派の中で一大勢力を誇った説一切有部の思想を取り上げ、初期仏教の思想がいかに展開し、インド仏教の教理的な基盤か構築されたのかを学ぶ。次に、その後に誕生した大乗仏教の思想を学ぶ。ここでは主に、中観派が説く空の思想と瑜伽行派が説く唯識の思想を学ぶ。本授業では、主要な原典における重要な一節の和訳を参照し、そのニュアンスや雰囲気を肌で感じ、味わう。授業の中心は哲学的な教理の解説になるが、経典の教説や戒律などにも目を向けて、インド仏教の思想を総合的に理解することを目指す。また、インド仏教の教理研究には不可欠の文献学的な手法についても紹介する。さらに授業を進める中で、図書館やインターネットを使用した情報収集の方法や学術的な文章を作成する際のルール(引用の仕方や参考文献の挙げ方など)についても適宜解説を行う。以上の学習を通じて、インド仏教史の概要・基礎的な教理・主要学派の思想・文献学的な研究手法の概要を理解するとともに、基本的な情報収集力や学術的な文章を書く際の作法を身に付けることを目指す。 |